サー・デービッド・キング英国外務大臣付気候変動特別代表来日
5月12~13日の日程で訪日したサー・デービッド・キングは、関係省庁、国会議員、経済界要人などと会談を行いました。
2013年9月に外務大臣付気候変動特別代表に任命されたサー・デービッド・ キングは5月12-13日の日程で来日致しました。サー・デービッドは2000年-2007年まで英国政府首席科学顧問を務め気候変動について政府による対策の必要性への認識を高めるのに貢献しました。この度は、昨年に気候変動特別代表に就任されてから20カ国目の外遊となりました。5月12-13日の日程で訪日したサー・デービッドは、経済界要人、国会議員、関係省庁などと会談を行いました。
5月12日には英国大使館にて「日本版2050 パスウェイ・カリキュレーター(2050 低炭素ナビ)」の暫定版の披露を兼ねたワークショップ・トライアル会を開催。2050 パスウェイ・カリキュレーターは、2010年に英国エネルギー・気候変動省(DECC)が開発したツールで、長期的低炭素社会シナリオの検討を行うための分析ツールです。英国では、その操作性の手軽さや図示の分かりやすさから、「2050年までに温室効果ガス排出を1990年比80%削減」とする目標を達成するための方策を検討する際に活用してきました。日本版のカリキュレーターは、2013年より、(独法)国立環境研究所(NIES)と(公財)地球環境戦略研究機関(IGES)が開発に取り組み、英国政府も支援してきました。当日のイベントでは、ご参加頂いた有識者の皆さまに日本版カリキュレーターをご紹介させて頂くと共に、実際に使って頂く機会を設けました。
安部総理訪英中の5月1日に発表された「気候変動とエネルギー協力に関する日英共同声明」では、「2050 パスウェイ・カリキュレーターの普及に関し(中略)政策におけるさらなる協力と情報共有の範囲を拡大する」との文言が含まれ、安部総理の前で英国の2050 カリキュレーターが披露されました。英国政府としても日本のエネルギー・環境政策議論に活用すべく、日本版の開発に引き続きサポートをしていきます。
5月13日には超党派「原発ゼロの会」や有識者チームで構成する国会エネルギー調査会(準備会)共催のシンポジウムにて、「気候変動とエネルギー政策、食糧・エネルギー安全保障の課題」をテーマに講演しました。 サー・デービッドは2030年に世界の中産階級の人口が50億人に達し、21世紀の課題は人口増加による気候変動、生態系、鉱物の供給、テロ、健康と開発、食糧生産、水資源、エネルギー供給など8つの重要な分野への影響に対して新しい解決法を見出すことにあると話しました。公平性(equity)の観点からも各国の排出レベルについて、一人当たり排出量を2トン(二酸化炭素換算)に制限するべきだと主張。日本に対しては2050年の-80%目標を再度断言し、野心的な2020年以降の目標を設定するよう要請しました。