アンジェリーナ・ジョリー氏が紛争下の性暴力防止を呼びかけ
UNHCR特使、日英の外務大臣、前国連難民高等弁務官が、戦時下の性暴力撲滅に向けた取り組みを呼びかけ、この問題への意識を高め、行動を喚起しました。
7月29日(月)、UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)特使を務めるアンジェリーナ・ジョリー氏が、自身の監督作品である「最愛の大地」特別試写会のために、東京の国連大学を訪問しました。今回の特別試写会は、駐日英国大使館、国連難民高等弁務官事務所、日本における作品の配給会社である 彩プロの共催により開催されたもので、ジョリー氏は、紛争下の性暴力防止を呼びかけるスピーチを行い、ウィリアム・ヘイグ英外相とスタートさせた取り組みについて述べました。
映画「最愛の大地」は、ボスニアを舞台に、性的暴力が戦闘の手段として戦略的に行われている事を衝撃的ともいえる切り口で描きだした作品であり、8月10日より日本で上演が開始されます。世界中で起きている紛争に共通して当てはまる要素を含んでおり、「紛争に対する国際社会の不介入の結果」「紛争下で女性が置かれる苦境」「紛争下での性暴力に対する責任」「和解への課題」への視点も織り交ぜられています。
国連大学に集まった参加者の前で、ジョリー氏は次のように述べました。
「ウィリアム・ヘイグ英外相は「最愛の大地」を見て連絡をくださり、そのテーマに関してできることがあれば手伝いたいとおっしゃってくださいました。14カ月前にロンドンで、私たちは、戦争における性暴力根絶のために地球規模の行動を起こすことをめざし、新たな取り組みをスタートさせました。以来、私たちはコンゴ民主共和国を訪れ、G8会合、国連安全保障理事会で話す機会を得ることができました。被害者の公正を確保し、政府の責任を問うために努力する優れた人々や組織と出会いました。ここまで目覚ましい進歩がありました。 今年の4月、G8は戦地での性暴力をなくすために一致協力するという歴史的な約束を交わしました。この画期的な合意において、日本はとても重要な役割を果たしてくださいました。またつい先月には、安全保障理事会が、実際的・集中的なリーダーシップを発揮するという新たな決議を採択しました。しかし、これはまだ始まりにすぎません。各国政府や国連から地域社会、家庭、さらには皆さん方一人ひとりまで、あらゆるレベルのあらゆる努力を必要とします。過去を変えることはできませんが、未来はそう、私たちの自由になるのです。そして、あなたはその未来のカギを握るひとりなのです。」
駐日英国大使館のジュリア・ロングボトム代理大使は、ウィリアム・ヘイグ英外相が寄せた次のようなメッセージを代読しました。
「ボスニアからソマリアにいたるまで、性暴力の被害者たちはあまりにも長い間、忘れ去られてきました。これまで、何百万とはいわないまでも、何十万という女性、少女、男性たちが組織的に虐待されてきたにもかかわらず、その事実はさほど重要視されませんでした。このままではいけません。性暴力を戦闘の手段として使う者たちが処罰を免れる状況を断固許してはなりません。被害者たちを二度と見捨ててはなりません。堂々と声を上げる政治指導者、政府にさらなる行動を求める市民が必要とされています。この映画で描かれる物語をけっして繰り返さないようにしなければなりません。だからこそアンジェリーナ・ジョリーと私は活動をともにし、国際社会の決然たる行動を呼びかけています。日本の方々の積極的なかかわりとリーダーシップには、非常に感謝しています。皆様のお力添えを得ながら、今宵を、私たちの国々のさらに深い協力関係の始まりにできればと思います。」
日本の岸田文雄外務大臣からは、次のようなビデオ・メッセージが寄せられました。
「21世紀の今、残念なことに世界各地の紛争下において多くの女性が性的暴力の犠牲になっています。こうした状況は一刻も早くなくさなければなりません。今年4月ロンドンで開催されましたG8外相会合におきましては、イギリスのヘイグ外相のリーダーシップの下、「紛争下の性的暴力に関する閣僚宣言」が採択されました。本日上映されます映画、「最愛の大地」の監督を務められましたアンジェリーナ・ジョリーさんとは、G8外相会合の際にお会いをさせていただきました。ジョリーさんは、イギリスのへイグ外相とともに、紛争下の性的暴力を撤廃するため、様々な活動をされておられます。G8外相会合の際の力強い発言には私も大変心を動かされました。本日の上映会の機会が、この問題について皆さんの理解を深めていただくきっかけになり、アンジェリーナ・ジョリーさんを始めとする世界の人々の取組にここ日本からも一人でも多くの方が加わっていただくことにつながることを期待しています。」
第8代国連難民高等弁務官である緒方貞子氏もゲスト・スピーカーとして参加し、紛争下の性暴力防止に向けたヘイグ英外相とアンジェリーナ・ジョリー氏の取り組みに謝意を表し、次のように述べました。
「映画「最愛の大地」では、私が国連難民高等弁務官時代に訪れたボスニア・ヘルツェゴビナのシーンが数多く映し出されます。戦争が終わって何年も経った後も、私たちは多くの問題に直面しました。難民は戻って来ていましたが、住む家も家族も残っておらず、レイプや性暴力の危険に晒されていました。 私たちの使命は、こうした人々が地域社会の立派な一員として戻ることができるように努力することです。皆様も、色々な意味で、この映画のシーンに触発されると思います。 どうか、じっくりとご鑑賞いただき、自分に何ができるか、日本人として何ができるか、助けを必要としている人々に何ができるかを考えて頂きたいと思います。」
ジョリー氏のスピーチを含め、Uストリームでライブ配信された上記のメッセージは、下記のチャンネルでご覧頂くことができます。
英語: http://www.ustream.tv/channel/angelinajolie-en 日本語: http://www.ustream.tv/channel/angelinajolie
オンラインでご覧になった方々には、是非、ツイッターでディスカッションに加わって頂きたいと思います: #SexualViolence、 #TimeToAct、 #conflict.
詳しい情報
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