国際女性デー:紛争下の性的暴力への取り組み重要性を再確認
英国政府とUN Womenアジア太平洋地域事務所は、「紛争下の性的暴力被害者とその子供たちへの支援」に関する出版物を刊行し、紛争下の性的暴力への取り組みの重要性を再確認します。
このプロジェクトは、アジア太平洋地域における紛争下の性的暴力被害者とその子供たちが必要としている支援を明確にし、国による被害者支援をどのように「女性と平和・安全保障(WPS)の国家行動計画」に反映・強化するかを政策提言としてまとめることを目的としています。
2017年1月には、バンコクで専門家会合が開催され、ネパール、インドネシア、フィリピン、東ティモール、スリランカやミャンマーの被害者たちのニーズを話し合いました。会合では、被害者が保健および精神的支援、経済的機会や安全対策へのアクセスを確保することなど、早急に起こすべき行動を確認しました。
1月の専門家会合のフォローアップとして、2月にはネパールの首都カトマンズにてネパール人専門家による会合が開催されました。紛争を経験したネパール女性からは、司法へのアクセスやスティグマ(不名誉)や偏見に囚われずに生きるための支援の必要性が主張されました。平和復興省のスーマン・プラサド・シャルマ次官は、「ネパール政府はWPSの国家行動計画が第2フェーズに入るにあたり、被害者の声が次のフェーズに反映されるよう努力を、紛争下の性的暴力によって生まれてきた子供たちの状況やニーズを把握し、被害者を含め国民が広く国家行動計画の第2フェーズの決定過程に参画できるように努力します」と述べました。
キャサリン・スミットン駐ネパール英国公使は、英国政府の紛争下の性的暴力イニシアティブにおいてネパールが英国政府の優先支援国であることを強調し、英国が行っている性的暴力の立証および検証方法の訓練を紹介しました。スミットン公使は、「被害者のニーズを満たすためにはもっと戦略的に結果を出していく必要がある」と述べました。
UN Womenネパール事務所のウェニー・クスマ代表は、「被害者が必要としている支援の実施は、性的暴力犯罪を裁くことと同時に行われるべきであり、裁きが下されるのを待つ必要はない」と提言しました。
バンコクおよびカトマンズで開催された専門家会合での議論は、2017年4月に発表予定の最終報告書へ反映されます。報告書は、調査研究、政策分析、ネパールとスリランカの事例研究から成り、紛争下における性的暴力被害者とその子供たちへの支援の向上のために政策に携わる関係者にとって貴重な資料となることが期待されています。
2016年7月には、UN Womenと日本政府により、「女性と平和・安全保障の国家行動計画に関するアジア太平洋地域シンポジウム」がタイ・バンコクにて共催されました。17カ国から80名以上の代表が一堂に会し、アジア太平洋地域における「WPSの国家行動計画」の成功と課題について知見を共有しました。昨年のシンポジウムの成功を受け、紛争と安全保障におけるジェンダーへの取組みの日英共同協力事業の1つとし、英国政府は本プロジェクトへ資金協力を行っています。